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番外編スペシャルサプライズ
「じゃあ、あと誰だろう……」
遼成さんは公安にマークされ身動きが取れないはず。だとしたら思い当たるひとは一人しかいなかった。
「毎日宿題もきちんとやって、学校にも休まずに通っている奏音たち子どもたちにプレゼントだ。起きたらどんな反応をするか、いまから楽しみだ。未知、挨拶は明日でいいぞ。橘と積もる話しもあるだろうから」
くくくと笑うと鼻先にチュッと軽くキスをされた。
「一目でいいから未知の寝顔を見てから奏音のところに行きたい。駄目かな?」
「駄目ではありませんがきっと今頃盛り上がっている最中ですよ。地竜さんがいないんです。久しぶりの夫婦水入らずです。邪魔しない方がいいと思いますが」
「じゃあさ、未知の声フェチの橘に聞く。最中なら夫婦揃って聞き耳立てて障子に張り付いて聞いてるよね。なのに橘はいつも通り。柚原は玲士らと呑んでるし。ということはつまり」
ガラッと勢いよく障子が開いたから心臓が止まるんじゃないか、そのくらい驚いた。
「未知、久し振り。いいよ、起きなくて。遥琉も相変わらず未知にベッタリだね。たいくん、ここちゃん、ひまちゃん、久し振り。ごめんね、五月蝿くて」
「あのな光希、いつから覗き見の趣味が増えたんだ?」
「遥琉、日本語は正しく使おうね」
「光希さんだ……嘘……信じられない」
「さっき電話で話していたから変な感じだよね。急に森下を会長のところに連れてこいって話しになって、ということはひょっとして福島に行ける?奏音と未知に会える?子どもたちにも。そう思ったらいてもたってもいれなくなって、気付いたら遼と龍に行かせてほしいって頼んでいた」
「よく二人が許したな」
「こう見えても保健室の先生だったから、怖い思いをした優輝の心に寄り添ってあげられるのは僕しかいないかなって」
「ありがとうな、光希。感謝する」
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