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番外編思いがけない再会

「別になめてはいない」 「その態度がなめているんだよ。公務員を辞めてヤクザだと?ふざけるな!お前らのせいでお袋が死んだんだぞ!」 血相を変えて憤懣をぶちまけた。 「コウジ、喧嘩は駄目。すぐに止めさせて」 光希さんに言われ、 「えぇ~~これからが面白いのに。ねえさんがそう言うなら。分かりました」 渋々ながら答えると、 「車田落ち着け。冷静になれ。お前らしくないぞ」 諭すように声を掛けた。過足さんと蛭田さんが車田さんの両脇を抱えて廊下へと連れ出した。 「すみません……」蚊の泣くような声で謝罪の言葉を口にすると力なく項垂れた。 「玲士、お前はよくやった。誠心誠意職務を全うしたじゃないか」 「会長の言う通りだ。俺だって公務員を辞めてヤクザになったからな、陰口は散々叩かれているし、目の敵にされている。気にするなと言っても無理かもしれないがいちいち相手にしていたら体が持たないぞ」 鞠家さんが玲士さんに駆け寄った。 「めんごくねぇぞ。相変わらずおめさんはツンデレなんだから」 「五月蠅い。黙れ」 「おめさんが感謝しているとどうしても伝えたいっていうから、ヤスさんに頼んだのに」 「そうだっけ?忘れた」 玄関から門までスタスタと歩いていた車田さんの足が急に止まった。蛭田さんと話していてろくすっぽ前を見ていなかった過足さん。気付いたときには車田さんの背中に勢いよくぶつかっていた。

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