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番外編予期せぬ接点

「いきなり止まるな。なじょした」 はっと息を飲む車田さん。視線の向こうにいたのは譲治さんと鍋山さんだった。 「知り合いか?」 「他人の空似だ。彼が福島にいるわけがない」 「そうか?案外そうかも知れないぞ。二度と会えないと諦めていた甲崎さんに再会することが出来たんだ。一度あることは二度あるってよくいうだろ」 蛭田さんに言われ、 「それもそうだな。確かめてくる」 車田さんが走り出した。 「なぁ、きみ。昔、楮山組で雑用係をしていなかったか?」 楮山というワードに肩をびくりと震わせる譲治さん。 「僕、知らない。何も知らない」 素早く鍋山さんの後ろに隠れると背中にぎゅっとしがみついた。 「いきなりなんだ。それ以上譲治に近付くな。怯えているのが分からないのか?」 「譲治っていうんですね、彼」 「貴方には関係ないでしょう」 「関係あります」 ぶるぶると震える譲治さんにはお構いなしでぐいぐいと迫る車田さん。 「やだ、やだ、来ないで」 顔をぶんぶんと横に振り鍋山さんの服に爪の痕が残るくらいにぎゅっと掴んだ。 「倅が何かご迷惑をお掛けしましたか?」 騒ぎを聞き付けた壱東さんが慌てて走ってきた。 「命の恩人なんですよ、彼。どうせ、作り話だろう。信じてもらえないのは百も承知です」 車田さんがゆっくりとしゃがみこんだ。

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