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番外編予期せぬ接点

「ジョーに客が来たのか?これは壱と鍋の匂いではない。犯罪の旨そうな匂いがする」 「遥琉の言っていた通りだ」 ボソリと小声で呟く光希さん。 「な、なんでもない。一人言だから気にしないで」 「気にする」 「覃の嗅覚は犬なみに鋭いって遥琉が言っていたから……」 「卯月はボスと同じで俺のことをよく分かっているじゃないか。参ったな、ますます惚れてしまいそうだ」 「覃もよく知っているように遥琉は手いっぱいだよ」 「分かってるって。兄貴ラブのがうようよいるってだろ?ライバルが多い方が俄然やる気になる」 「くれぐれも譲治を泣かせないでよ」 「任せろ。泣かせるのは………」 にやりと笑う覃さん。 「ちょっと待て。話しが変な方向に脱線している」 「そうだった。誰が来た?」 「コウジの昔の部下で車田っていう男。譲治に昔助けてもらったみたいで感動の再会をしていた」 「感動の再会だと?へぇ~~どさくさに紛れてジョーに抱き付いて、触りまくっていたんだろ?」 「なんでわかったの?」 「フフフ、なんでだろうな。秘密だ」 不適な笑みを浮かべる覃さん。 光希さんの背筋を冷たいものが過り、ぞくぞくと背を震わせた。 「へぇ~~コイツか」 携帯の画面を片手でスクロールしながらもう一方の指で机をトントンと叩く覃さん。 コウジさんが頭を垂れて座っていた。 お風呂から上がって一度は素通りしたものの、やっぱりどうしても気になってちらちらと広間を見ていたら、橘さんと光希さんに声を掛けられたからドキッとした。

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