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番外編予期せぬ接点

「さすが覃だな。全部お見通しだったとは。恐れいった」 門の前の、静かな夜道を照らす街灯の下で一人煙草を吸うコウジさんに覃さんが話しがある、と声を掛けた。 「都合が悪いことは誰でも言いたくないから無理には聞かないがな」 「本当か?お前に目を付けられたら最後。地獄の果てまで追いかけられそうで怖いんだよ」 思わず本音が漏れた。 「愛しのマイハニーのところに戻らなくていいのか?」 ヤスさんが佐治さんを伴い姿を現した。 「寝相が悪すぎて、足は飛んでくる、パンチは飛んでくる、俺は抱き締めて寝たいんだが、簡単なようでなかなか難しい」 真面目な顔で覃さんが答えると、ヤスさんがクスリと笑った。 「笑うようなことは言ってないぞ、俺」 「笑ったりして悪い。決して悪気があったわけじゃない。いやな、お前でも難しいことがあるんだなって思ってな」 「俺にだって難しいことのひとつか、ふたつはあるぞ。本当に好きだからこそ、誰よりも大切だからこそ、その分慎重になるのかもな。たまには俺もいいことを言うだろ?」 「そうだな」 チラッとコウジさんの手元を見るヤスさん。 「兄貴」 すかさず佐治さんが煙草を一本差し出した。

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