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番外編予期せぬ接点

柔らかな甘い唇がそっと押し当てられる。 口内を探られ、あたたかな粘膜がぬめりながら僕の舌に絡む。 上顎の凹みを擽るようにして舐められ、舌と舌を絡めて吸い、そこに柔らかく歯を立てられると、くぐもった呻き声が口の端から零れた。 「ふ……っんぅ……」 大きな背中にしがみついていた腕に、力が籠もる。 ちゅっと音を立てて唇が離れ、潤んだ目で見上げると再び口付けられた。 「オヤジ、お楽しみのところすみません」 柚原さんの声が廊下から聞こえて来た。 「まだ五分経っていないだろ?」 「経ちましたよ。客人がお待ちかねですよ」 「随分とまぁ早起きだな。まだ四時前だぞ」 彼がむくっと起き上がった。暑いといって夜中に服を脱ぎ捨てたから当然何も身に着けていない。目のやり場に困り、視線を泳がせていると、 「今更恥ずかしがってどうする?未知は寝てていいぞ」 苦笑いしながら頭をぽんぽんと撫でられた。 「遥琉さん、お客さんって?」 「大山だ。吉田の件ですっ飛んできたんだろう」 枕元に用意されていた絣の浴衣に袖を通す彼。 「遥琉さんすごく似合う。カッコいい」 「そうか?照れるじゃねぇか」 嬉しそうに微笑む彼。 「俺もついにこれが似合う年になったか」 感慨無量といった面持ちで浴衣をぐるりと見ると、ヨッシャと気合いを入れ、大山さんに会いに向かった。

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