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番外編予期せぬ接点

「カタギってどの面下げて言うんだが……たしか、あんた、伝説のバウンティーハンターだったな。一見するとチャラチャラしたチンピラ風情なのに。一分の隙もない。さすがだな」 観念したのかようやく手を離した。 「早起きは五文の徳。目的はなんだ?」 「それをいうなら早起きは三文の徳だ」 「へぇ~~初めて知ったぞ。大山、光希に会いたくて来たなら無駄だぞ。旦那は任意同行されるわ、甥は狙われるわで、激おこぷんぷん丸だ。返り討ちにあうぞ」 「それでも構わない。一言どうしても謝りたくてな」 それまで正座をしていた大山さんが足を崩した。 「覃とか言ったな。膝を割ってじっくり話したい。死神のナンバー2であるきみと」 「残念ながら2ではないぞ。俺より優秀な男は山ほどいる。生憎公安には興味ない。俺より卯月と話したほうが楽しいぞ。卯月は若いのになんでも知っているぞ」 「覃、俺は……」 「さっきも言ったが公安には興味がない。話すこともない。黒竜とは違う。一緒にするな」 死神の情報は喉から手が出るくらい欲しい。 だから大山さんは引き下がらなかった。 「覃さん」 立ち上がり急いで廊下に行くも、そこにはもう覃さんの姿はなかった。 「神出鬼没。逃げ足が早い男だ」 「別に逃げた訳じゃない。覃は極度の人見知りだ。大目にみてやってくれ」 「あれで人見知りなのか?卯月がそう言うならそうなんだろう。分かったよ」 大山さんがすごすごと彼の前に戻ってきた。 「そうガッカリするな。まるで失恋したみたいだな」 「一方通行の片想いほど辛いものはないよ」 はぁ~~と深いため息をついた。そのとき大山さんの携帯がブルブルと振動した。

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