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番外編予期せぬ接点

下からコウジさんを見上げ、倣岸に胸を反らす大山さん。彼をはじめとする幹部たちは、二人の視界には入っておらず、垂れ込める気配はまさに一触即発。先に動いたのはコウジさんでも大山さんでもなかった。 「コウジ兄貴、子どもの前です。喧嘩は駄目です。大山さんも権力を傘にそうやって高圧的な態度をとるから、喧嘩を売るようにしか見えないのでしょう。ここでは誤解を招くようなことはご遠慮願います」 臆することなく自分の意見を堂々と言うと、 「幸ちゃん駄目じゃないか、追いかけてきては。怖いおじちゃんがいるって言ったろ?」 目を真っ赤に腫らして泣きじゃくっていた幸ちゃんに笑顔で駆け寄る玲士さん。 「ままたんいない」 「お姉ちゃんは?」 「まだねんねしてる」 「そうか。おじちゃんと探しに行こうか?あ、でもその前に風呂だな。ぱぱたんどこにいるかな?幸ちゃんままたんじゃなくてぱぱたんを探そう。ちゃんと掴まってろよ」 よいっしょと片手で抱き上げた。 「お騒がせしてすみません。失礼します」 軽く頭を下げると幸ちゃんを連れていった。 「てっきり甲崎がいるのかと思った。顔だけでなく声もそっくりだから驚いた」 「弟だからな、玲士は。大山さんは甲崎と仲がいいんだな」 「伊澤の部下はろくなのがいない。生意気な青二才と馬鹿にしていたことを反省している。甲崎とは犬猿の仲だったが、仲を取り持ってくれた千ちゃんには感謝しかない」 彼と大山さんの話しを不機嫌そうに黙って聞いていた鞠家さん。ゴホンとわざとらしく咳払いをした。

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