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番外編予期せぬ接点

「悪かったな、おやっさんの部下で。ろくでなしで」 ぶっきらぼうな言い方をすると、 「すまん、忘れていた訳じゃないんだが」 大山さんが両手を合わせ平謝りしていた。 「押しからじきじきにメールをもらい嬉しくて有頂天になるのは構わない。でもな、大山さん。これだけは忠告する。千里が好きなのは分かるが、それが欠点にもなるし、弱点にもなる。それともうひとつ。俺以外、おやっさんの部下はみな優秀な刑事だ。胸を張ってそう言える」 「そうだな、刑事を辞めても部下から頼りにされ慕われる伊澤はやっぱりすごい男だ、そう思うよ」 大山さんは気づいていた。廊下に控える伊澤さんの存在に。 「腐れ縁らしいな」 「そうらしいな」 縁側に座る柚原さんと覃さん。二人して風呂あがりなのかタオルを首に掛けてなにやら話し込んでいた。そこへ、 「俺も混ぜて欲しい」 玲士さんが現れ、和気あいあいとした雰囲気で話しが盛り上がっていると、 「俺も混ぜてくれ」 新参者の癖に俺らの兄貴を独占するなど100年早いと言わんばかりに、ヤスさんと佐治さんがムスっとした表情で現れ柚原さんと玲士さんの間に割り込むようにして腰を下ろした。 「やけに静かなだな」 「子どもたちがまだ寝ているからな。まさに嵐の前の静けさだ」 頬を撫でる心地いい風が吹いていた。 「柚原さんはコウジ兄貴と大山さんの切っても切れない過去の因縁のことをご存知なんですか?」 玲士さんが身を乗り出した。 「詳しいことまでは知らないが、取り締まる側が何をしても許されるって訳じゃないだろ?」 柚原さんが後ろを振り返った。 「お前らねえさんが困っているだろ?どっちかに寄れ」 声を掛けるタイミングがなかなか掴めなくて。お茶をお持ちしました。となかなか言い出せずにいた僕に真っ先に気付いてくれた。

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