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番外編予期せぬ接点
「了~~!我喜欢你《ウォーシーファンニー》!」
柚原さんに抱き付こうとした覃さんを、
「調子に乗るな!」
一喝したのは着流しを粋に着こなした度会さんだった。
「柚原が好きなのは分かるが、少し落ち着け。あと声がデカイんだよ。耳がキンキンする」
「会長こんな朝早くからどちらに?」
「部屋住みの若いのと散歩ついでに買い物をしてきた」
歩いて十五分ほどの距離にあるコンビニエンスストアのレジ袋を掲げた。
「弾よけもつけずに危険です」
「大丈夫だ。ハチと青空がいたから。紫から甘いものをなるべく控えろって言われているんだが、一つくらいなら許してくれるかと思ってな」
ひょっこりと顔を出したのは譲治さんだった。
予期せぬことが起きると人って不思議なもので、なぜか固まってしまう。好きな人が突然目の前に現れ、覃さんも固まってしまった。
「た、覃さん、あ、あの……」
びくびくしながら差し出したのはホカホカの餡まんだった。
「一緒に食べよう……かなって。あ、でも……」
遠慮がちにちらちらと柚原さんたちを見る譲治さん。思いもよらない誘いに覃さんは、
「今日エイプリルフールか?」
と一人言をぶつぶつと呟いたのち、自分の頬っぺたを指先でつねった。
「痛いということは嘘じゃない。マイハニージョー!」
たちまちニコニコの笑顔になるとサンダルに履き替えて譲治さんのところに駆け寄った。
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