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番外編予期せぬ接点

「下手な演技はやめろ」 柚原さんが大山さんのポケットに手を入れた。 「何をするんだ、止めんか」 抵抗しようとした大山さんの手を覃さんががっしりと掴んだ。 「ねえさんの声を盗み聞きするとは許さん」 「イタタ……頼むから手加減してくれ」 大山さんが苦悶の表情を浮かべた。 「嫌だね。嘘つきにはお仕置きが必要だろ?」 「年寄りだから労わってくれ」 「俺にはそうは見えないぞ。若々しいイケオジにしか見えないぞ」 「は?ふざけるな……イタタ、痛い!人のを勝手に持っていくな」 大山さんの抵抗も空しく携帯を取り上げる柚原さん。慣れた手付きでロックを解除するとボイスレコーダーのアプリをアンインストールして削除してしまった。それだけではない。電源を一旦切ると問答無用とばかりにマイクロSDカードを抜いた。 「そこまでする必要はないだろう?」 「最初に言っておくが俺は若井や吉田みたいな自分勝手な刑事が嫌いだ。千里のファンだから今まで大目に見ていたが、オヤジや会長の言う通り調子に乗らないほうがいいんじゃないですか、大山さん」 低い声で、棘のある言い方をする柚原さん。鋭い目付きで大山さんを睨み付けると、 「これが噂に聞く昼行燈か」 余裕の笑みでそう返した。 「お前誰だ?本物の大山じゃないよな?」 柚原さんが強張った表情で大山さんをじろりと睨み付けた。

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