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番外編予期せぬ接点

「チョコなんか落とされたらもう落ちないよ」 「ごめんね、紗智」 「いつまでもバスローブ姿でいないでそれを食べたら着替えをしてきたら?」 「二度寝するつもりだから着替えない。だって寝たの、三過ぎだし」 那和さんが紗智さんの隣に腰を下ろした。 「なんかね暑くて寝苦しくてなかなか寝れなかったの。だから眠くて。それと……」 ふぁ~あと大きな欠伸をした。そのとき、ギャァ~~助けて!と悲鳴が聞こえてきた。 「今日も朝からずいぶんと賑やかだね」 「覃いいの?顔出ししたりして」 「凄腕のバウンティハンターとしてその世界では知らぬ者はいないから、自分一人表に出れば、地竜や宋や他のメンバーは表に出ることはない。自分だけ火の粉を被れば仲間を守れるって。そんな話しをしていた」 「へぇ~そうなんだ。覃も仲間想いだからね。でももう一人じゃないんだし……あ……」 しまったと気付いたときはすでに遅かった。 「あぁ~~だから言ったのに」 いつの間にかチョコが垂れて白シャツとバスローブに付いていた。 「ごめんね」 「もういいよ。手、ベタベタでしょ?洗ってきたら?」 「そうする」 那和さんがすっと立ち上がり部屋を出ていこうとしたら、 「うわー」 勢いよく飛び込んできた奏音くんとぶつかった。 「ななちゃん、大丈夫?」 「かなくんのほうこそ大丈夫?チョコ付いてない?」 「うん。前を見ていなかったから。ごめんなさい」 項垂れる奏音くん。 「謝らなくていいよ。起きたら隣に光希がいなくて不安になったんだよね?」 「うん」今にも泣き出しそうな顔をする奏音くん。 「奏音おいで」 光希さんに名前を呼ばれるとたちまち笑顔になり、胸元に飛び込んでいった。

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