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番外編予期せぬ接点

「俺、無事に帰れるのか?」 そんなことをぶつぶつと小声で呟いて、胸元を手で隠すような、そんな仕草をした。 「過足や他の仲間たち同様、車田も更生してくれたと思っていたんですが……カタギに戻らずそのままヤクザになった俺の真似事なんかして、本当に馬鹿な男です。人生を棒に振るような真似だけは絶対にするなとあれほど口を酸っぱくして言ったのに……」 肩を落とすと、寂しい、やるせない表情になった。 本物の大山さんが訪ねて来たのはお昼過ぎのことだった。 「いやぁ~~すみません。朝一番の新幹線で来るはずがすっかり遅くなってしまって」 申し訳なさそうに頭を掻く大山さん。 覃さんは柱に寄り掛かりそんな大山さんをじっと見ていた。 「人身事故の影響で新幹線が止まってしまい、ここに来るまで大変だったのでしょう。ゆっくりして行ってくださいね」 「橘さんありがとうございます。未知さんもお邪魔します。ん?」 覃さんに見られていることにようやく気が付いたみたいで、 「俺の偽者を捕まえてくれたそうだな。感謝する」 頭を下げた。 「岳温泉に行くんだろ?一緒に風呂に入ろう。背中を流してやる」 「背中ついでに尻だろ?お前は。こんなオッサンの尻のどこがいいんだかさっぱり分からない。覃、彼氏は連れて行かなくていいのか?」 「卯月に聞いてから決める」 「そうか」 二人ははたから見ても仲が良さそうだった。

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