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番外編予期せぬ接点
「サクラは昔公安を指す言葉だったそうですね。会長は自分への戒めのつもりでこの桜の木をある場所からここに植え替えたそうですよ」
彼が手を後ろで組んで大山さんにゆっくりと声を掛けた。
「戒め?」
はじめは意味が分からなかった大山さんだったけれど、心当たりがあるのか、信じられないといった表情になりかなり動揺していた。
「会長が言うにはこの桜はある事件の生き証人だそうです。といっても桜が喋る訳ではないので。変な話しですよね。大山さん大丈夫ですか?顔色が悪いですよ」
「だ、大丈夫だ。何でもない」
力なく首を横に振る大山さん。
「大山さん、タクシー運転手がまだですかって騒いでますよ」
佐治さんが大山さんを呼びに来た。
「大山さんほら急がないと」
「そうだった」
彼に急かされふらふらと歩きだした大山さんだったけれど足元は覚束なくて。見ているこっちがヒヤヒヤするくらい危なっかしいものだった。
「大山さん」
いてもたってもいられず追い掛けようとしたけど、彼にほっとけって言われてしまった。
「これから何が起きてもそれはすべて過去の行いが招いたことだ。俺たちにはどうすることも出来ない」
彼がじっと桜の木を見つめた。
「七草木という苗字、春になれば町全体が桜に彩られるちいさな城下町。これだけ言えば俺が誰か、何者か、分かりますよね?」
門の外で過足さんたちと一緒に大山さんが出てくるのを待っていたのは車田さんだった。
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