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番外編予期せぬ接点

「公安の刑事さん、俺はこれから警察に出頭します。刑事さんもあの桜を見たでしょ?」 「……すまない」 ガックリと肩を落とし項垂れる大山さん。 「謝るのは俺じゃなく、俺の両親にでしょ?違いますか?」 畳み掛けるような強い口調に、大山さんは力なくただすまないを繰り返すだけだった。 「度会さんはひとりぼっちになった俺を何かと気に掛けてくれた。それだけじゃない。両親の形見のあの桜だって大事にしてくれている。あなたに引き合わせてくれた両親に感謝しないと」 「弁解はしない。悪いのは俺らだから。辞職願は出してはいるんだが、なかなか受理してもらえなくてな」 大山さんがチラッと後ろを見た。 「覃、悪いな。岳温泉行きは当分の間お預けな。この埋め合わせはちゃんとするから許してくれ。いつかになるか分からないが覃と譲治と三人で出掛けよう」 「楽しみにしてるぞ」 覃さんがにこやかな笑顔を見せた。 「俺はてっきり譲治を巡っていがみ合っているものだと思っていたぞ」 「いやぁ~~それがな」 覃さんが車田さんに気付かれないように肩に手をそっと回した。 「そのつもりだったんだが顔はこんなだが中身はいい奴だった。それだけのことだ」 「おぃ!」 肩を抱き寄せられて。不意打ちをくらった車田さんが驚いたような声を出した。 「オトモダチ、だもんな。俺ら」 楽しそうにニコニコと笑う覃さんに車田さんの表情が引き攣っていた。 パン、と一回だけ乾いたような音が聞こえて来て。ふと手を止めた。

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