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番外編七夕

「誰一人晴れますようにと書かないのがまたいいな。話しを聞いているようで誰も聞いていない。うちの子どもたちはみんな面白いな」 一太と遥香が書いた短冊に彼がくすりと笑っていた。 子どもたちが書いた短冊を手分けして一枚ずつ笹の葉に飾り付ける譲治さんたち。手が届かない高いところは青空さんの担当だ。 「ディノンさんに会いたい、ゆげさんに会いたいばっかだな。みんな可愛いな。譲治もそう思うだろ?どうした、手が止まってるぞ。早くしないと日が暮れてしまうぞ」 心ここにあらず状態でぼんやりと眺めている先には、仲良く縁側に並んで座り談笑する亜優さんと玲士さんがいた。 「風来坊だからな、覃は。手紙はちゃんと来ているんだろ?」 青空さんの問い掛けに大きく頷く譲治さん。 「見た目と違い覃はマメだからな。一週間に最低でも一回は手紙が届く。手紙といっても差出人の住所も名前も書かれていない、外国の観光地のポストカードだがな。元気ならそれに越したことはないんだが、短くてもいい、何か一言あってもいいと思うんだが」 「それが覃だ。彼らしくていいじゃないか」 青空さんがくすっと笑った。 「オヤジ、空が明るくなってきたぞ。小降りになって来たぞ」 「橘の日頃の行いがいいんだろう」 「やっぱ持っている男は違うな」 青空さんが空を見上げると、譲治さんもそれにつられて空を見上げた。 「まるで双子みたいに息ピッタリじゃないか」 「俺は尊とハチで手一杯だ。誰が譲治の面倒なんかみるか。面倒くさい」 照れ隠しにぷいっとそっぽを向く青空さん。相変わらず素直じゃないところが青空さんらしくていい。

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