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番外編七夕
「メールではなくたまには手紙を書こうと思ったんですが書いているうちになんだか照れ臭くなってしまって。覃さんみたく絵葉書ですみません」
申し訳なさそうに頭を下げた。
「余計なお節介かも知れないが、親御さんは玲士が亜優さんを連れてくるのを心待ちにしている。勘当だ、二度と敷居を跨ぐな、と家を追い出されたと甲崎から聞いた。厳しい人こそ、本当は優しい心の持ち主なんだと俺はそう思うよ。甲崎から玲士と亜優さんが一緒に写った写真を見せられ、幸せそうで良かった、安堵して涙を流していたそうだ。盆休みに帰省したらどうだ?」
「兄貴に実家に亜優を連れてこい、親に紹介してやれと何度も言われてはいるんですが……」
「自分が選んだ人だろ?世間の目は気にするな。堂々と紹介したらいいんだ。卯月さんを見てみろ、恵比寿さまみたいなあの笑顔で、何組の同性カップルを生み出したと思う?卯月さんは縁結びの神さまだと思わないか?」
「……はい、確かに……」
玲士さんが頷いた。
「なんだか急に背中が痒くなってきた」
照れ屋さんがもうひとり。
「お、そうだ。客人にそうめんを出してやらないとな。七夕といえばそうめんだもんな。すっかり忘れていた。良かった思い出して。青空、玲士、細谷を案内してやってくれ」
彼がそそくさとその場から逃げ出した。
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