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番外編七夕
「車田はなんで逃げなかったんだ?」
「コウジと過足は吉田が拳銃で自殺を図ったと聞いたとき、車田の犯行じゃないかとすぐに疑った。過足たちが説得しても一筋縄ではいかなくて。度会さんの言うことなら車田も素直に聞くだろうとそれでここに連れてきた」
「なるほどな」
大山さんがあたりをきょろきょろと見回した。
「もしかしてコウジを探していますか?」
「東京に帰ったのか?」
「隙あれば遼に罪を擦り付けようとする輩がいますからね」
「ということは縣一家の姐さんもここにいるのか?」
「買い物に出掛けています。そろそろ帰ってくるころだと思いますよ」
♪♪ゆき ゆき ゆき ゆきうさぎ
~~みんなのスーパー ゆきうさぎ~~♪♪
一度聞いたら忘れられない軽快な音楽が流れてきた。
しばらくすると、
「♪♪ゆき ゆき ゆき ゆきうさぎ~~今日の目玉は~~♪♪」
歌を口ずさみながらヤスさんが上機嫌で広間の前を通りすぎていった。でも数分後、
「退院祝いです」
豆大福とゆべしと味噌まんじゅうが入った箱を脇に抱えて戻ってきて大山さんの前にどんと置いた。
「甘いもの、好きでしたよね。2週間我慢していたんですから遠慮せず、好きなだけ食べてください」
「なんだか悪いな」
「悪くないですよ。足りなければ言ってください。ゆきうさぎ丸にまだありますから」
「ヤスさんありがとう。お言葉に甘えて遠慮なく頂戴するよ」
にこにこと満面の笑みを浮かべる大山さん。思いがけないプレゼントに驚きつつも大喜びしていた。
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