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番外編七夕

「退院おめでとうございます」 光希さんがなかまち夢通りにあるデパートの紙袋を大山さんに差し出した。太惺は光希さんの足にしがみついていた。 「へ?俺に?」 思いがけないプレゼントに驚く大山さん。 紙袋の中を見るとちょっと派手めの柄シャツとグレーのジャケットとスラックスが入っていた。 「俺と千里で選びました。遠慮せずにもらってください」 「千ちゃんが俺のために?ありがとう光希さん」 顔を両手で覆う大山さん。 「どうしたんですか?どこか具合でも悪いんですか?」 「具合は悪くない。これは嬉し涙だ。年のせいかただでさえ涙もろいのに。まさかみんなから祝ってもらえるなんてこれぽっちも思わなくてな。卯月さんからは酒をもらい、度会さんからは名前入りの名刺入れをもらい、ヤスさんからは和菓子をもらった。敵対関係にあったのに。こんなによくしてもらえるなんて長生きして良かった」 涙を流す大山さん。 「大山さんにはまだまだ長生きしてもらわないと困ります。これからも宜しくお願いします」 光希さんが頭を下げると、太惺も一緒にぺこっと頭を下げた。 「ただいま!」 元気いっぱいの子どもたちの声が庭から一斉に聞こえてきた。 「あ、あの遥琉さん……」 「ん?どうした?」 「子どもが帰ってきたから」 「だから?」 五分だけ寝る、そう言って膝を枕代わりにして寝ていた彼。 「それに……」 「五分経過したってだろ?」 彼の逞しい腕が腰に回ってきて。ぎゅっとしがみつくと顔を埋めて頬をすりすりさせてきた。

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