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番外編七夕

「覃と何を話していたの?話したくないならいいけど」 「特に何も……地竜さんが短冊に書かれた願い事を読み上げて欲しいと覃さんにお願いしたみたいで」 「だからなんだ。さっきから一人言をぶつぶつ言っているのは。ついに頭がおかしくなったかってコウジが心配していたから」 「頭がおかしいのはもともとだ」 覃さんの声が聞こえてきたら二人してドキッとした。 「耳がいいね、覃は」 「目もいいぞ。未知が言った通りだ。別にやましい話しはしていない。心配するな。ボスもそう言ってる」 携帯をすっと上にあげた。 「疑ったりしてごめんなさい。未知、行こうか」 光希さんに腕を掴まれ、そのまま寝室へと連れていかれた。 「最近妙にこそこそしているんだよね。遥琉も橘も柚原も。はじめは気のせいだろうって思ったんだけど、俺に聞かれたらまずいことでもあるのかな。でも遥琉に限って隠し事なんかするわけないか」 「ここにいる間は光希さんに何も心配せずに過ごして欲しい。遥琉さんいつもそう言ってます。だからその……」 本当のことが言えないことが心苦しくて。言葉がうまく出てこなかった。 「光希、頼むから未知をあまり困らせるな」 泣きじゃくる陽葵をあやしながら彼が姿を現した。 「下に寝かせると泣くんだ。未知、あとは頼んだ。太惺も心望もなかなか泣き止んでくれなくて。てんやわんやだ。橘と柚原を尊敬する」 今日と明日くらいは子どもたちのお世話を休んで、夫婦水入らずの時間を過ごしたらどうだと彼が二人に提案した。

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