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番外編七夕

蜂谷さんの実家のペンションには毎週誰かしか泊まりに行く。 大山さんもあのあとペンションに一泊してから東京の本部へと向かった。橘さんと柚原さんも着いたころだと思う。 「たいくん、預かろうか?」 「奏音に妬きもちを妬かれても知らんぞ」 「一太がいるから大丈夫。任せて」 小さくガッツポーズをする光希さん。 泣きながらあとを追い掛けてきた太惺を抱き上げてくれた。 「心望はパパっておいで」 心望は彼が抱き上げてくれて、 「陽葵がねんねするまで散歩しようか。お兄ちゃんとお姉ちゃんたちが書いた短冊でも見てこよう」 ゆっくりと歩き出した。 「遥琉さん、覃さんがいたよ」 「そうか。ちょうど良かった。話しがあったんだ」 心望の背中をぽんぽんと軽く撫でながら、泣かなくてもいいんだぞ。置いていかないから。笑顔で話しかけてあやしてくれた。 「地竜の安否確認をするだけだ。だからそんな顔をするな。いままで光希に隠し事をしたことがあるか?」 「ない。一度もない」 首を横に振る光希さん。 それを見た太惺がピタリと泣き止んだ。 「たいくんどうした?」 光希さんの服をぎゅっと掴み頬っぺをこれでもかと膨らませ何か言いたげな表情で彼をじっとみつめる太惺。 「たいくんのパパは俺のことをいじめている訳じゃないよ」 太惺を落とさないように片手でしっかりと腰を抱き抱え、指の腹で頬っぺたをやさしくツンツンする光希さん。 「たいくんの怒った顔、一太とハルちゃんにそっくりだね。可愛い」 すっかりメロメロになっていた。そこへ、 「みつきさんママ」 奏音くんがやって来た。

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