3415 / 3632
番外編七夕
「全然帰ってこないから心配したんだよ」
光希さんの腕の中にいる太惺にすぐに気付いて表情を曇らせた。妬きもちをやいて駄々を捏ねて、ひと暴れするかと思ったけど、
「たいくんはお兄ちゃんっておいで」
ナイスなタイミングで救世主が現れた。
「みつきさん、たいくんを抱っこしてくれてありがとう。おもかったでしょ?」
「全然重くなかったよ」
光希さんから太惺を受け取ると、
「パパにあっぷしちゃだめでしょう。お兄ちゃんと一緒にねんねしようね」
慣れた手付きで太惺をあやしながら部屋へと戻って行った。
「落としそうでなんかヒヤヒヤするんだけど」
「一太くんはたいくんとここちゃんがギャン泣きして、あばれててもぜったいに落とさないよ」
奏音くんがさりげなく光希さんの手をそっと握った。
「みつきさんママ寝よう。かなた眠い」
「そうだったね。ごめんね」
光希さんが奏音くんの頭を撫でて、一太たちのあとを追いかけていった。
「心望が寝ててくれて良かった。二人ともお兄ちゃんが大好きだからな。太惺ばかり抱っこしてもらってズルいと心望まで妬きもちをやいてブスくれて収拾がつかなくなっていた」
ふと視線を感じて、心望を見る彼。
「起きなくていいから寝てていいぞ」
おめめをぱっちりと開けた心望と目があった。
「たまには一太お兄ちゃんに太惺を貸してやれ。パパもブスくれるぞ」
寝起きだからか機嫌が悪い心望。下唇を伸ばして半べそをかいた。
ともだちにシェアしよう!