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番外編七夕

「散歩がてら覃を探して来よう。地竜とモシモシしような。心望の声を聞いたら間違いなく帰りたくなるぞ。未知、今のうちに陽葵を寝かしつけてこい」 「分かった。遥琉さん、心望をお願いね」 「任せておけ」 彼と心望を見送ったあと陽葵を抱っこして寝室に戻った。 枕元に起きっぱなしにしていた携帯が鳴ったような気がして。手を伸ばし携帯の画面を見るとひろお兄ちゃんとりょうお兄ちゃんから何回も電話が掛かってきていた。 「陽葵、どうしよう。ひろお兄ちゃんとりょうお兄ちゃん。どっちを優先にしたらいいと思う?」 悩みに悩んだ末、差し障りのないように、陽葵を寝かし付けているので後で連絡しますと電話ではなくメールを送った。 「車田ははじめこそ素直に取り調べに応じていたが、橘が紹介した弁護士に会ったあとは黙秘に転じた。兄も頭を抱えている」 陽葵を寝かし付けようとしたら玲士さんが手伝いたいと申し出てくれた。 「亜優さんは?」 「寝てます。起こさないように抜け出してきました。オヤジが起きているのに先に寝るわけにはいきませんからね」 変なところが真面目で律儀な玲士さん。 陽葵をなんとか寝かし付けようと子守唄を歌ったり、部屋の中をゆっくり歩きまわったりと一生懸命頑張ってくれた。 「やっと寝てくれました」 玲士さんが布団の上にそっと寝かし付けると、 「消火器を持ってこい!早く!」 彼の声が外から聞こえてきた。 なにやら騒がしい。

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