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番外編七夕
「あれ!?誰かと思ったら僕の遼成を横取りしたドロボー猫じゃん」
「一央、言っていいことと悪いことがあるぞ。光希、部屋に戻れ。コウジ、ボサッと突っ立っていないで光希を連れていけ」
光希さんは微動だにせずじっと立っていた。
「姐さん、行きましょう」
コウジさんが腕を引っ張ると、
「事実だから何を言われてもしょうがない」
寂しそうに呟いた。
「お前コウジだっけ?お前ほどの人物ならあの方に重宝してもらえるのに。非常に勿体ないな。なんでまた縣一家みたいなへったくれな組にいるんだよ。小遣い程度しかもらえず、ペコペコ頭を下げてさ、男を姐さんと呼ばなきゃいけない、四六時中新入りの面倒をみなきゃならない、今の生活に満足していないだろ?不満たらたらじゃないの?」
コウジさんは顔色ひとつ変えず黙って聞いていた。
「コウジ……」
光希さんが心配そうに声を掛けた。
「親身になって何でも話しを聞いてくれる。こんな素敵なひとを姐さんと呼べるこの幸せ、一央さんには一生分からないと思いますよ。それに俺、坊っちゃんのお世話と弾よけを任せられたんです。コウジにしか出来ないってオヤジとカシラにじきじきに頼まれたんです。誘ってもらうのは嬉しいんですが、姐さんと坊っちゃんがいる縣一家が俺の居場所なんで。そのひとに伝えておいてください、どんだけ大金を積まれても縣一家から離れる気はこれっぽっちもないと」
胸を張って堂々と答えた。
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