3420 / 3632

番外編七夕

誰だっけと言いながらゲラゲラと笑う一央さんに、 「パパもママみたくお酒をたくさんのんで、私たちのことぜんぶ忘れちゃったの?そんなパパ、私見たくない」 しだいに涙声になるめぐみちゃん。ずずっと鼻を啜った。 「黙っていないで答えろ」 ぺしっと軽くお尻を叩く覃さん。 覃さんにとっては軽くだったかもしれないけど、一央さんにしてみれば相当痛かったみたいで顔をしかめていた。 彼と光希さんもすぐに気づき、めぐみちゃんのもとに駆け寄った。 「誰か、靴を持ってきてやれ。いや、抱っこしたほうが早いな」 彼が片手で軽々とめぐみちゃんを抱き上げた。 「ごめんな、起こして」 「パパの声が聞こえたの。気のせいのかなって思ったけど、やっぱりパパだった」 「そうか」 頭をぽんぽんと軽く撫でる彼。 光希さんも、泣かなくていいからね、と優しく声をかけながら背中を擦った。 「光希、卯月の代わりに受け取れ」 ほいと黒い小さな何かを光希さんに投げる覃さん。 「ちょっと待って。急に言わないでよ」 慌てて両手を広げる光希さん。 「覃、それは俺のだ。返せ!」 一央さんも急に慌てはじめた。 「ナイスキャッチ。めぐみを抱っこしていてもさすがだな。ますます惚れそうだ」 「覃、そこは惚れなくていいから」 片手でキャッチする彼。 「うづきさん、すごい。みつきさんもそう思うでしょ?」 「そうだね」 「たまたまだ」 手を広げる彼。 「うづきさんこれは何?あぶないもの?」 めぐみちゃんがじっと手元を覗きこんだ。

ともだちにシェアしよう!