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番外編七夕
「盗聴器だ。爆発物じゃないから心配するな。玲士、代わりに持っていてくれ」
「へ?俺?」
名前を呼ばれ、
「本当に俺でいいんですか?下っ端の見習いなのに」
まさかじきじきに頼まれると思っていなかった玲士さん。声が思わず裏返った。
「あと誰がいるんだ」
「ほら、玲士」
「ぼさっとしてないで。急げ」
佐治さんたちに背中を押され彼に駆け寄る玲士さん。すごく嬉しそうだった。
「玲士は縣一家の部屋住みのはずなのに。下っ端ってどういうことだ?」
何もしらない一央さんが怪訝そうな顔をした。
「なんだ知らないのか。てっきり知っていると思っていた。俺、優しいからな。教えてやるよ」
覃さんが愉しそうに笑った。
「めぐみは知ってるよ。れいじさんはあゆさんの婚約者だよ」
自信満々に答えるめぐみちゃん。
「あゆって、一人しかいないよな。ということは……ヘドが出るくらい気色悪い」
吐き捨てた一央さんに、
「なんでパパはそういう風にしか見ないの?一太くんだって言ってたよ。お内裏さまとおひなさまばかりじゃないって。お内裏さまとお内裏さまが一緒に並んでいても全然おかしいことじゃない。普通だって。私もそう思う。パパ、あゆさんとれいじさん、すごくお似合いなんだよ」
「めぐみ、そのくらいにしておけ」
「どうしてもパパに言いたかったの。言えたからスッキリした。パパ、お休みなさい。また明日ね」
大きく手を振るめぐみちゃん。さっきまで泣いていたのが嘘のようにけろっとしていた。
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