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番外編七夕

「昨日会ったばかりでしょう。パパもう忘れたの?」 「昨日会った?嘘だろ。全然覚えていない。ごめんな、父さん酔っ払っていて昨夜のことをなにも覚えていないんだ」 「なにもって……あんなひどいことをしておいてなにも覚えていないなんて。パパ、幸にちゃんと謝って。幸がどんな思いであの短冊を書いたと思う?」 「あんなことって何だ?それに短冊って……」 「とぼけないで。あと優輝にも謝ってよ。パパ、それってもしかして……」 つま先立ちで一央さんを見上げていためぐみちゃんが何かに気付いて、嫌悪感を露にした。 「パパなんて大嫌い」 プイッとそっぽを向くと一太たちのところへ走っていってしまった。 「めぐみ!」 ドアを開けてあとを追いかけようとした一央さんを、 「さらに火に油を注いでどうするんだ?」 隣に座っていた覃さんが止めた。そしてコンパクトミラーを渡した。 「目をよ~く開けて首もとを見ろ」 そう言って。 「これ見よがしにキスマークなんかつけて。めぐみが子どもだから分からないとも思ったのか?」 「お前が付けたんだろう」 「言いがかりだ」 「嘘つけ」 「だから俺じゃない。俺なら本人が見えない背中と尻にキスマークを残す。いいか、一央。俺は酔っ払って意識がないヤツと寝ているヤツは基本襲わない」 「どの口が言ってるだか」 「あ、そうだ。太ももをあとで見てみろ。左右にくっきりと残ってるぞ、キスマークが。お前を独り占めした。よほど独占的が強い女だと見た」 「だから女じゃない」 うっかり口を滑らせてしまい、 「な、なんでもない。一人言だ。忘れてくれ」 動揺し慌てる一央さん。

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