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番外編光希さんの妹さん

「そうさせてしまったのは一央のまわりの大人たち。生い立ちもなにもかも可哀相なひとなんだ。彼は」 「それは知ってますが、俺の大切な姐さんを悪く言われて、ものすごく腹が立ちました」 「ごせっぱらがやけたんだ」 「そうです」 「信孝みたく過去にはこだわらず彼をまるごと全部受け止めて、ありのままの彼を愛してくれる人。そんな人が彼の前に現れるといいのにね。誰かいないの?縣一家と菱沼組には揃いも揃ってイケメンばかりじゃない。一人くらいいないの?」 茉弓さんがあたりをキョロキョロと見渡すと、みんな顔を合わせないように一斉に下を向いた。そこへなにも知らない玲士さんがやってきた。 「ねぇ、ねぇ、彼なんかどう?なんか良くない?都会の人っていう感じじゃない?すごくお洒落だし」 「彼は駄目です」 「えぇ~~なんで」 「遥琉の息子婿だからです」 「ん?どういうこと?」 茉弓さんがキョトンとしていた。 「わぁー可愛い!」 「やっと寝たところなんだから起こしたら許さないから」 「お兄ちゃん、顔が怖いよ。スマイル、スマイル」 茉弓さんが笑顔で陽葵のあどけない寝顔を覗き込んだ。 「女の子が欲しくなった?」 「でもねこればかりはね。もう、やだ~~」 のろけて光希さんの背中をバンバンと叩く茉弓さん。光希さんは痛いと言いながら顔をしかめていた。 「ずいぶんと賑やかだな。外まで声が響いているぞ」 子どもたちを小学校まで送っていた彼が帰ってきた。

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