3433 / 3486

番外編光希さんの妹さん

「ハチから未知が光希兄妹と出掛けたと聞いたから子守りをしないと思って事務所に寄らず急いで帰ってきたんだ。まだ出掛けていなかったのか?」 「行くときになって陽葵が起きちゃって」 「そうか。ごめんな、大変なときに留守して」 「ううん、大丈夫」 首を横に振ると、彼に頭をぽんぽんと撫でられた。 「信孝が言っていた通りだ。いいなぁ~~」 茉弓さんの声が聞こえてきたからドキリとした。 「その台詞そっくりきみに返す。吉崎がうちの妻は世界一可愛い、最高の妻だ、いつも自慢しているぞ」 「翔さんたら、もう、やだ~~」 茉弓さんが頬っぺにてをあてて甲高い声をあげた。 車の中でナオさんが茉弓さんの二人の子どもの写真を見せてくれた。 やっぱり双子。長男の真くんは晴くんにそっくりだ。 「まさかおなじ幼稚園に入園するとは思わなくて。いろいろあったけどあっという間だった。子どもの成長は早いね。茉弓さんのご両親って晴にとっては祖父母になるわけでしょ?ランドセルを買ってやりたいって言われて……なんか悪いなって」 「悩む必要はないでしょう。遠慮しないの。それが両親にとってすごく楽しみなんだもの。今度の日曜日、ちゃんと来てよ」 「分かってる。ランドセルを買いにデパートに行く約束をしてて、そのあとファミリーレストランで食事をしようっていう話しになっているんだ」 浮かない表情を浮かべるナオさん。それに気付いた光希さんが、 「無理しなくてもいいよ」 優しく声をかけてくれた。

ともだちにシェアしよう!