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番外編光希さんの妹さん

「サツが駅構内や駅ビルを警ら中でうろうろしているらしい。目立つ行動は控えろと連絡が来た」 耳にイヤホンをつけた蜂谷さん。マメに佐治さんと無線で連絡を取り合っていた。 青空さんと佐治さんは偵察もかねて先に駅に向かった。 「青空さん大丈夫なんですか?絶対に目立ちますって」 「青空は初対面なのにも関わらず光希の両親とすっかり意気投合してコーヒーショップでお茶会をしている。青空も佐治も顔は怖いが、どういう訳か年寄りに可愛がられる。ヤスなんかアイドルみたいなもんだろ」 「コウジさん、うちの両親は見てくれだけでその人を判断しないわ。それに肝も座っているし。そう簡単には動じないわよ」 「そういう茉弓も肝が座っているよ」 「え?私?」 キョトンとする茉弓さん。 「うん、そう」 光希さんがくすりと笑った。 駐車場から店舗へ移動する間、なるべく目立たないようにしていたつもりだけど、蜂谷さんとコウジさんは顔もいいし長身ということもあり並んで歩くと本当に絵になる。すれ違った女性客が思わず立ち止まりチラチラと振り返って二人を見ていた。右側のひとカッコ良くない?そうかな、私は左側のひとがカッコいいと思う。ひそひそとそんなことを話していた。 三階は右手が生活雑貨のお店で左側が書店になっていた。エスカレーターに向かっていたら、 「お兄ちゃんこの絵本よくない?」 茉弓さんがなにげに手にしたのは『なかよく、はんぶんこ』と『なかよし、こよし、さんにんぐみ』というタイトルの絵本だった。

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