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番外編光希さんの妹さん
「遼成さんと龍成さん、今もお兄ちゃんを取り合って喧嘩ばかりしているんでしょ?だったらこれを二人に読み聞かせてあげたら?」
「あのね茉弓、ちょっとそれは……」
「タイトルが気にいらない?じゃあこれは。ママといっしょにたのしくおままごと。今も龍成さん、お兄ちゃんと赤ちゃんごっこして遊んでいるんでしょ?」
「だから茉弓、そういう絵本じゃなくて」
「だったらどういう絵本がいいの?」
「普通の本でいいよ。小学生二年生が読める本で。遼さんも龍も、一児の父親になるんだもの、いつまでも赤ちゃんでいられないでしょ?」
「そっか、なるほどね。二人とも見ないうちにずいぶんと成長したんじゃない?お兄ちゃんに構ってもらいたくてわざと駄々をこねて、無理難題を並べて、よくお兄ちゃんを困らせていたものね」
茉弓さんがぱちんと両手を叩いた。
「あ、そうだ。信孝もそうだったね。さすがは三兄弟。そっくりだよね」
愉しそうにクスクスと笑い出した。
光希さんの言う通りだ。茉弓さんは度胸が座っている。まわりの買い物客から好奇の目で見られているのにまったく動じない。これっぽっちも気にしていない。
「だって漫画や小説の話しだと思っていたから。非現実的で、一生涯関わることがない。それがよ、まさかすぐ近くにいたとは。信孝から実家が縣一家だと聞かされたときは思わずガッツポーズしたわよ。私のほうから信孝に友だちになりたいと頼んだの」
「茉弓さんって恋のキューピットだったんですね」
「そうかな?」
顎に手をおいて考え込む茉弓さん。
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