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番外編光希さんの妹さん

「恋のキューピットは私より未知さんのご主人のほうだと思う。ずっとシングルマザーで生きていこうと思っていたから誰かを好きになるなんて考えもしなかった。でも卯月さんが翔さんを紹介してくれたから、この人となら一緒にいて楽しいかもしれない。私と真を大切にしてくれる。だから結婚することを決めたの。ご主人には感謝してる。もちろん信孝とナオにもね」 「僕たちはなにもしていない」 ナオさんが首を横に振った。 「謙遜しないの」 ちょうどそのとき光希さんが紙袋をぶら下げて本屋さんから出てきた。茉弓さんから勧められた絵本をまさか本当に買うとは思わなかったからびっくりした。 「茉弓、はじめに言っておくけど、この絵本は遼さんと龍にではなく、たいくんとここちゃんに読んであげるために買ったんだからね。誤解しないでよ」 「ねえさんたち、端に寄ってください」 蜂谷さんが前にすっと僕たちの前に出た。 「蜂谷さん、急にどうしたんですか?」 蜂谷さんの視線の先にいたのは茶髪で身なりが派手な若い男性三人組。他人の迷惑も考えず大きな声で喋りながら僕たちのほうに向かってきた。携帯を見ながらだから前なんかろくすっぽ見ていない。 蜂谷さんがなにを言おうとしたかようやく理解したコウジさん。光希さんたちの前に立った直後、三人組の一人がコウジさんにぶつかってきた。コウジさんが鮮やかな身のこなしで避けたけど、 「イタタ」 男性が苦悶の表情を浮かべその場にうずくまった。 「下手な猿芝居だな」 蜂谷さんとコウジさんが小さく呟いた。

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