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番外編光希さんの妹さん
コーヒーショップに入ろうとしたとき、
「パイを注文していた柚原ですが」
橘さんの声が隣のスイーツ店から聞こえてきたから驚いた。
「あら、奇遇ですね」
店員から商品を受け取った橘さんと目が合った。
「これは紗智さんたちへのお土産です」
「柚原さんは一緒ではないんですか?」
「一緒ですよ。さっきからずっと未知さんの後ろにいますよ」
「後ろ?」
橘さんに言われて振り返ると柚原さんが立っていたから心臓が止まるんじゃないか、そのくらい驚いた。ナオさんもびっくりした。心臓に悪いからいるならいるってくださいと言いながら胸に手をあてていた。
「茉友さん、今日はお休みですか?」
「主人と一緒に総合病院で検査をね。神様に感謝しなきゃね。今日を逃したら光希に会えなかったかも知れないもの。ちょうど良かったわ。橘さんにこれを渡したかったの」
封筒をバックから取り出すと橘さんに渡す茉友さん。ふたりは知り合いだった。
「柚原さん、いつもどうも」
帽子を一旦とり柚原さんに軽く頭を下げる光希さんのお父さん。
「皆さんお知り合いだったんですね」
「何かあれば柚原さんかヤスさんにすぐに連絡するようにって光希に口酸っぱく言われているの。私たちにはふたりの王子さまがついてくれているから鬼に金棒なの」
茉友さんがくすりと笑んだ。
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