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番外編光希さんの妹さん

「駅前のアーケードにある懐石ことさんの一日二組限定。ディナーの招待券よ。橘さんの誕生日と結婚記念日のお祝いよ。月末の土曜日忙しいと思うんだけど、たまにはゆっくり食事でもと思ったんだけどね……余計なお世話だったかしら」 「そんなことないです。茉友さん、敏さんありがとうございます」 然り気無く橘さんのとなりに移動する柚原さん。 一緒に軽く頭を下げると、橘さんの手をそっと握った。 「本当に仲がいいわよね。あなた、わたしたちも手を繋ぎましょうよ」 茉友さんが右手をすっと差し出した。 「へ?」 一瞬目が点になったのち、 「何を言ってるんだ。年を考えろ、年を」 照れて顔を真っ赤にする光希さんのお父さん。 「じゃ、俺が代わりに」 青空さんがその手をとりそっと握った。 「さっきも思ったんだけど大きい手よね。あらやだ、ドキドキが止まらないわ。心臓持つかしら」 今度は茉友さんが照れて真っ赤になる番だった。 「いまの若い者は子どもより携帯なんだな。危なくないか、あれ」 光希さんのお父さんが左手でベビーカーのバンドルを握り、右手で携帯を操作する若い男性に目を向けた。 男性の子どもなのかな?ふたりの幼い男の子が多くの買い物客が行き交う通路の真ん中でふざけてキャキャと騒いでいた。携帯に夢中になっていて人相の悪い男たちが近づいてきていることにまったく気づいていない。

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