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番外編光希さんの妹さん
「おぃ、どこを見てんだ」
「す、すみません」
一喝され平蜘蛛のように頭を下げる男性。
大きな声に驚いたのか、それまで寝ていた赤ちゃんが火が付いたように泣き出した。そしてエレベーターのほうからも子どもの泣き声が聞こえてきた。
「やかましい!さっさと泣き止ませろ!俺はいま機嫌が悪いんだ」
「そう言われても……」
「はぁ?なんか言ったか?」
「い、言ってません」
睨まれて、ビクビクしながら赤ちゃんを抱き上げると、
「ママ、ママ。あれ?どこに行ったんだ。たく相変わらず鈍間なんだから」
あたりをキョロキョロと見回したあと舌打ちをする男性。
今回ばかりは口出しせず黙って見ているつもりだった橘さんけど、
「赤ちゃん、抱っこしますか?」
見るに見かねて男性に歩みよった。
「あ、でも、うちの子人見知りで……」
「大丈夫ですよ。赤ちゃんは泣くのが仕事ですから」
笑顔で答えた橘さんに対し男性は結構です。ほっといてくださいと言い捨てると、子どもたちのところへ早足で向かった。
「おぃ、まだ話しは終わってねぇぞ。逃げんじゃねぇ」
柄の悪い男が声を荒げた。
「すみませんが静かにしていただけますか?」
「は?てめえー、俺を誰だと思っているんだ」
目をつり上げて橘さんを睨み付ける男性。
「誰って吉柳組の構成員だろ?」
柚原さんが淡々と答えた。
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