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番外編光希さんの妹さん
「飴ちゃんとステッカーをやるからもう泣かなくていいぞ」
男の子たちの前で立ち止まり、棒つきのキャンディーとステッカーを差し出したのは根岸さんだった。
「しらないひとからもらっちゃだめって、ママが」
「そうか。ちゃんと言い付けを守れるんだ。偉いな。おじちゃん悪い人に見えるか?」
「ううん」
じっと根岸さんの顔を見ながら首を横に振る男の子たち。
「孫もこのキャラクターが好きでな」
「え?そうなの?」
棒つきのキャンディーとステッカーを受け取ると、さっきまで泣いていた男の子たちがけろっと泣き止んた。
おじちゃんあのね、これしってる?得意気になってステッカーのキャラクターのことを話しはじめた。
面白くないのは父親のほうだった。
自分達に向けられるまわりの冷ややかな視線にいてもたってもいられず、トイレに行ってくると言い残すと赤ちゃんを母親に渡して足早にどこかに行ってしまった。
「おめさん、妊婦さんか」
赤ちゃんいますと書かれたピンクのストラップに根岸さんが目をとめた。
「悩みがあるなら一度弁護士に相談してみたらどうだ?相談は無料だ。阿部法律事務所の弁護士なら親身になって相談に乗ってくれるぞ」
思いもよらないことを言われて女性が驚いたように顔を上げた。
「新幹線の改札口を出たらサツがウロチョロしていて、身分証の提示を求められた。伊澤から話しを聞いて心配でいてもたってもいられなくな。若いのに任せておけばいいのにな、年寄りがでしゃばってすまんな」
「そんなことありませんよ」
「そうですよ。根岸さんお帰りなさい。ご無事で何よりです」
蜂谷さんと佐治さんが腰を九の字に曲げ深々と頭を下げた。それを見た青空さんとコウジさんもあわてて頭を下げた。
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