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番外編 盆踊り大会

うねめ祭りの赤い提灯が駅の構内に飾られると、今年もまたうねめ祭りの時期が来たんだわ、なんだかそわそわしちゃうのよ。一年なんてあっという間よね」 「敏さん今年も躍り流しに出るんですか?」 「大賞を狙って頑張っているみたいよ。張り切りすぎてまた腰を痛めないか心配なんだけどね」 茉友さんがぱちんと両手を叩いた。 「そうだ。未知さんに、お祭りのときに家族で浴衣コンテストに出ないって誘ってみようかしら」 「茉友さん、それは難しいかも知れません」 「あら、そう?じゃあ、菱沼組が誇るイケメンとならいいでしょ?」 「ちょっとそれも難しいかも」 オヤジが焼きもちを妬いて間違いなく暴走する。と危うく口が滑りそうになった蜂谷さん。 「ハチ、弓削がいるだろ」 柚原さんが何かひらめいたみたいだった。 翌週の土曜日。今日は心望が通う幼稚園で盆踊りが開催される。彼は朝から準備でいない。 「二年連続盆踊りの実行委員長で、夢通り商店街振興組合の理事としてうねめ祭りの準備で忙しいんでしょ?三足のわらじを履いて大変だね」 「遥琉にしか出来ません。本業も怠ることなく粛々と勤しんでいますし」 「未知に甘えながら、でしょ?」 もうじき夏休みに入る奏音くんと一緒に東京に帰ることにした光希さん。 「めぐみたちも一緒にどうって誘ったんだけど、まさか柚のほうから会いに来ないでって連絡が来るとは思わなかった」 母親からあからさまな態度で拒絶されショックを受けためぐみちゃんと優輝くん。新幹線に乗ってママに会いに行くのを楽しみしている幸ちゃんの笑顔を見るたび辛くなって、本当のことを話せないでいた。

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