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番外編 盆踊り大会
「光希さんさえ良ければ幸ちゃんだけを連れていくのもいいと思いますよ。一目だけでも母親に会えれば満足するんじゃないですか。今月の末に弓削さんを迎えに行きますのでそのとき幸ちゃんも一緒に迎えに行きます」
「大丈夫だと思うけど、念のため遼さんと龍に聞いてみる」
「一人くらい増えてもどうってことないでしょ?」
「それがねぇ」
そこで言葉を止めるとはぁ~~とため息をついた。
「子育ても体力勝負だけど、二人の世話のほうがもっと体力勝負だから。体が二つあっても足りないと思う」
「惚気話しですか?羨ましいですね。仲が良くて」
「決してそんなんじゃないから」
光希さんが顔を真っ赤にして手でひらひらと仰いでいた。
「みつきさん、私と優輝からも遼おじちゃんたちに頼むから、幸のことお願いします」
めぐみちゃんが台所に顔を出したから橘さんと光希さんが驚いていた。
「学校が休みの日ってなぜかみんな早起きだよね」
「ごめんなさい。みつきさんとたちばなさんの声が聞こえてきたから。だから、その……」
「謝らなくていいよ。めぐみはどうしたい?」
「私はここにいたい。紫さんが携帯でいろんなイベントに申し込んでくれているし、公民館のバス旅行もあるし、はちやさんの実家にも行かなきゃ。優輝も同じことを言っていたよ」
「本当にそれでいいの?」
「うん。だってママは私たちに会いたくないんだもの。私たちがいるからママは幸せになれないって言われた。でも私は大丈夫。気にしていないから」
「強がらなくていいよ」
「強がってなんか……」
めぐみちゃんの目から涙がぼろぼろと零れた。
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