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番外編 盆踊り大会
「我慢しなくていい。泣きたいときは泣いていいだよ」
光希さんと橘さんがめぐみちゃんを静かにそっと抱き締めた。
「優輝、なにを遠慮しているんだ」
ドアの前に立つ優輝くんに声を掛けたのは柚原さんだった。
「優璃と光希に抱き締めてもらえるまたとないチャンスを逃すな。ほら、行ってこい」
震えるちいさな背中をそっと押した。
「未知さんも遠慮せず。どうぞ」
橘さんに手招きされ、三人で二人を抱き締めた。
「くすぐったいけど、あったかい」
「逆向きだったらおしくらまんじゅうだね」
光希さんがくすくすと笑った。
「たいくんとここちゃんもむぎゅっとして欲しいのか?今は邪魔をしない方がいいぞ。紗智、亜優、二人を頼む」
柚原さんが二人に声をかけると、
「ここにいたんだ。たいくん、ここちゃん、めっけ」
鬼ごっこの真っ最中だったみたいで、二人とも見つかっちゃったと言わんばかりににかっと笑った。
「あっちの広いところで遊ぼう」
亜優さんに中国語で話し掛けると、太惺を抱き上げてくれた。
「朝から暑いね。汗びっしょりだね」
紗智さんが笑顔で心望を抱き上げてくれた。
「高行さんが怖い顔をして電話をしていたから、誰か来るかも知れないよ」
「招かざる客じゃなければいいがな」
「そうだといいけど、バーバが留守のときを狙って来ない?気のせい?」
「気のせいじゃない。何事もなければいいがな」
柚原さんが心配そうに眉を寄せた。
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