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番外編盆踊り大会
「バチってすごい音がしてほんの一瞬停電したあと、奏音がトイレの奥を指差してガタガタと震え出したんだ。倒れた時に床に頭をぶつけたのかたんこぶが出来ている」
「救急車を呼ぼうとしてもなぜか電波が悪くて」
「そうか」
騒ぎを聞きつけて園長先生がすぐに来てくれた。
「コウジ、幼稚園の電話を借りて家に電話を掛けろ。斉木先生がいるはずだ。状況を説明して指示を仰げ」
「分かりました。電話を借ります」
コウジさんが慌てて事務所に走って行った。
「なんだべな。分かった、病院には俺から連絡をしておく」
雷を伴った激しいゲリラ豪雨は三十分ほどで小康状態になったけれど、落雷による火災が市内で何ヵ所か発生しサイレンの音がひっきりなしになっていた。幼稚園の近くにも雷が落ちたらしいと蜂谷さんから教えてもらい心配をしていた矢先。コウジさんから斉木先生に電話が入った。嫌な予感がしてならなかった。
光希さんが帰ってきたのは日付けが変わる少し前のことだった。病院で意識は戻ったものの吐き気が止まらず、今は根岸さんが付き添っている。
「ゆやま、奏音はそう口にしていた。未知、その名前に心当たりは?」
「奏音くんが以前住んでいたアパートに押し掛けてきた男たちのリーダー格の男です。奏音くんは押入れに隠れていて難を逃れたけど、もし見付かっていたら間違いなく殺されていたって遥琉さんが話していました。だいぶたつのに今も悪夢にうなされています」
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