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番外編盆踊り大会

「悠仁さんが九鬼総業のフロント企業とトラブルになり逃げ回っていたということは遼さんから聞いてはいた。借金をチャラにするために奏音の出生の秘密をネタに楮山を脅し、金を巻き上げる魂胆だったが、逆手を取られたって。いつもそう。巻き込まれるのはなんの罪もない子どもたちばかり」 何も出来ない歯痒さに唇を噛み締めて、光希さんが350mlのペットボトルをぎゅっと握り締めた。 「もしかして一央さんも楮山さんを脅したとか」 「なくはないから怖いね。楮山も九鬼同様に執念深く狡猾な男だから。奏音が待っているからシャワーを浴びたら病院に戻るね」 光希さんが風呂場へと向かった。 「姿をくらました舎弟たちを探すのはあくまで表向き、ということはないかな?」 「藪から棒にどうした?」 「陽葵を寝かし付けながらふと思ったの。偵察に来たんじゃないかって。お姉ちゃんとチカちゃんから吉柳組は楮山組と神政会、どっちの傘下に入るかで意見が真っ二つに分かれて揉めているって聞いた。先行きが見通せない状況に若い人たちは次から次に掟を破り脱走しているって。菱沼組で匿っていないか、それを確認しにきたんじゃないかな」 「よその組に絶対に知られてはマズい内部情報を持ち出した者がいるんだろうよ。金よりそっちのほうが金になるし組の存続にも関わるからな。楮山の倅たちを手土産に楮山組と盃を交わせば幹部の椅子を用意するとでも言われたんだろう。縣一家と昇龍会をつぶすためなら手段は選ばない。どこまでも卑劣な連中だ」

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