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番外編コウジさんの昔の仲間

手伝いの人数が多かったから一時間もかからずあっという間に盆踊りの後片付けが終わってしまったみたいだった。玲士さんは二人の後ろにぴたりとくっついて歩いていた。 「パパ!」「パパ!」 「危ないよ、二人とも」 「落ちちゃうよ」 彼の姿を見つけるなり太惺と心望は興奮して縁側から身を乗り出すようにぶんぶんと手を振っていた。紗智さんと那和さんはヒヤヒヤして生きた心地がしなかったと思う。 「二人とも熱が下がって良かったですね」 「あれでも八度近い熱はある」 「マジですか」 「安静にして大人しく寝てろと言っても二人には通じない。きっとなんかしていられないからな。ぐったりして寝込んでいるよりもいいんじゃないか」 「奏音の具合はどうだ?」 「朝の五時に病院から帰ってきて光希さんにしがみついてずっと寝てる。一回も起きていない」 「コウジも寝てないのにずっと起きている。二人のことは柚原にまかせて寝てくださいってマーが何度も頼んでいるけど首を縦に振らない。バーバの言うことなら聞くと思う」 「コウジはチャラチャラしているように見えて、馬鹿がみっつ付くくらい真面目で頑固な男だ。こういう時は俺より遼だな」 彼がすぐにりょうお兄ちゃんに連絡をしてくれた。 それから数分後。 光希さんたちが寝ている客間の前で胡坐をかいて座り込むコウジさんの携帯がぶるぶると振動した。 「やべ」「マジか」そんな声が聞こえてきて。あたふたしながら携帯を操作するコウジさん。

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