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番外編コウジさんの後輩
「コウジさんのことばかり心配していたら、遼成さんと龍成さんに焼きもちを妬かれて、のちのち大変なことになりませんか?」
「橘、今は駄目~~」
光希さんが頬を赤らめ耳を両手で塞いだ。
「会いたくなるから、ですか?」
「こんなにも長い間離れたことがないから……って、ちょっと橘、変なことを言わせないで」
ますます顔が真っ赤になる光希さん。
「浮気をしているんじゃないか、愛想を尽かれたんじゃないか、心配事はつきませんからね。でもあの二人に限ってそれはないですよ。心配するだけ無駄です。ほら噂をすればなんとやらです」
ポケットに入れてある携帯がぶるぶると振動し、橘さんがくすりと笑った。
「橘さん止血に必要なものを貸して下さい」
コウジさんが息を切らしながら姿を現した。
「コウジこそ大丈夫?」
手と顔が血まみれだったから光希さんの顔から血の気がさぁーと引いた。
「あ、これ俺の血じゃないです」
「じゃあ誰の……」
「昔の仲間のです」
何か言いたそうな顔の光希さんに、
「撃ったのはおそらく湯山の手のものです。俺も卯月さんもこの通りぴんぴんしていますんで大丈夫です。めぐみちゃんたちも巻き込まれていませんので安心してください」
コウジさんが優しく微笑んだ。
救急箱とタオルを橘さんのところに急いで持って行った。子どもが転んで怪我をするなんてしょっちゅうだから、ガーゼと包帯を多めに補充しておいて良かった。
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