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番外編コウジさんの後輩
「未知さんはここにいて下さい。光希さんあなたもです」
橘さんが救急箱を脇に抱えてコウジさんと一緒に走っていった。救急車のサイレンの音が遠くから聞こえてきた。
「過足と車田の元カレみたいよ」
「へ?」
光希さんに言われて理解するまで少し時間がかかった。
「コウジね俺と遼さんと龍の関係を知ったときぜんぜん驚かなかった。その理由がやっと分かった」
「それならそう言ってくれれば、応援していますって言えたのに」
「きっと恥ずかしいんだよ。どうりで過足が車田の前では妙にそわそわしていたのも納得がいく」
光希さんがぷぷっと思い出し笑いをした。
「銃声聞こえた?」
「いえ、気づきませんでした」
「そうだよね」
洗濯物を干しながら光希さんとそんな会話を交わしていたら、
「銃身にサプレッサーを取り付ければ一定の消音効果を得ることができる。ねえさん、ただいま帰りました」
蜂谷さんが帰ってきた。青空さんとめぐみちゃんと優輝くんも一緒だ。
「良かった無事で……」
安心の胸を撫で下ろしたあと、壱東さんの姿が見えないことに気付き不安の気に襲われて、
「あ、あの……壱東さんは?」
おそるおそる聞いた。
「車を停めるなりいの一番で譲治の様子を見に行きました」
音に敏感だから僕たちは気付かなくても譲治さんには聞こえたのかも知れない。怖くて震えているかも知れない。
「壱東さんが側にいれば安心ですものね」
「はい。カタギを巻き込むわけにはいきませんからね」
蜂谷さんがめぐみちゃんと優輝くんに危ないから家の中に入るように声を掛けた。
「蜂谷は知っていたの?」
光希さんが不意にそんなことを聞いた。
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