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番外編コウジさんの後輩

「管轄が違いますからね、俺より伊澤と甲崎のほうが詳しいかも知れませんよ」 「コウジはあまりというかほとんど自分のことを話したがらない。遼さんと龍に助けを求めたときも、自分はどうなってもいいから仲間を助けてほしいと土下座して頼み込んだ。遼さんも龍も鬼じゃないからコウジとその仲間をうちの組で面倒をみることにした。コウジは出世にもほかのことにも一切興味はない。人生に絶望しただ息をしているだけ、そんな感じだった。そんなコウジを変えたのは奏音と達治だった」 「いや、違うな。姐さんへの愛だな」 「蜂谷、俺は真面目な話しをしているんだよ」 「こんなこと冗談で言えるか」 さすがは蜂谷さんだ。なんでもお見通しだった。 「コウジを立ち直させたのは、誰でもない。光希お前だよ。姐さんが大好きなことはいいことだ。俺も青空もねえさんが大好きだからな」 まさか蜂谷さんに面と向かって言われるとは思ってもいなかったから恥ずかしくなってしまった。彼みたく背中がムズムズしてきて痒くなってきた。 「未知の照れた顔を久し振りに見た。あ、そうだ」 携帯を尻ポケットから取り出すと何枚か写真を撮られた。 「呑気に撮影会をしている場合じゃないだろう」 「未知に癒しを求めているのは遥琉だけじゃないよ」 「そうだった。妹大好きなのがわんさかいるもんな」 蜂谷さんがやれやれとため息をついた。

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