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番外編 はなももの里
「光希さんは分かりましたか?」
「ここまでは出かかっているんだけど。未知は?」
喉のあたりに触れる光希さん。
「二十年前に二歳くらいだったなら、十五年前は六歳か七歳くらいです」
「それってもしかして……」
ひとりしか思い浮かばなかった。光希さんも誰かようやく気付いたみたいだった。偶然の一致に思わずゾッとして鳥肌が立った。
「へぇ~~これが昔の俺か?俺にもガキの頃が本当にあったんだな。自分でいうのもあれだが、なかなか可愛いツラをしている」
驚く素振りを見せず淡々とそう言葉を紡ぐと興味津々、写真をじっと見つめた。
「会うか、会わないかはお前の好きだ」
「それをいうなら白黒つけてこいってだろ?」
普段となに一つ変わらずいつものように蜂谷さんととんちんかんなやり取りをはじめる青空さん。
「実を言うとなハチ、秦さんから聞いてはいた。探偵みたいなのがうろついているって。サツが公開している俺のガキの頃の似顔絵、想像で書いたものだから全然似ていないから情報が集まらないと思っていたが、意外とあれが役に立ったのかもな」
コンビニエンスストアの駐車場でしおさんとすれ違ったとき、どこかで会ったような懐かしい既視感に襲われた青空さん。
「物は試しだ。コイツに会ってくる」
「俺も行く」
「いや、ハチはここにいてくれ。しおは警察が大嫌いだとコウジから聞いた。元デカと知ったら態度をころりと変える可能性が大だ」
「そうか、分かった」
「俺と同い年は……佐治とミツオあたりか。よし、連れていこう。当たったら褒美に飴ちゃんをやろう」
ルンルン気分の青空さん。しおさんと会うのが楽しみで仕方がないそんな感じだった。
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