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番外編 はなももの里
「スマホがポケットに入っていたから命拾いしたようなもんだべ。新しく買い換えるしかねぇって、さっきも言ったべした。なぁ、しお。俺はこれで良かったと思う。さっきの連中とはスマホでしか繋がりがないんだろ?互いの名前すら分からないんだろ?そだ連中は仲間でもなんでもねぇ。手を切るいいチャンスだ。スマホは警察が証拠品として持っていった。佐治さんは関係ねぇ」
「過足、お前変わったな」
ポツリと呟くしおさん。
「昔からお節介やきで正直うざいと思っていたが」
「俺は何一つ変わってねぇ。昔のまんまだ。変わったのは俺じゃなく、おめさんのほうだべ」
「そうか、そうかもな」
寂しそうに項垂れるしおさん。
「俺はどんなしおでもいい。しおが側にいてくれればそれで十分幸せだ」
「過足……」
じっと見つめ合う二人。
ごほん、とわざとらしく咳払いをしたのはミツオさんだった。
「よりがもどって良かったな。車田にせいぜい焼きもちを妬かれないようにしろよ。嫉妬深い男ほど面倒くさいものはないぞ」
釘を刺され気まずそうに顔を見合わせた。
「雲ひとつない快晴、病室から見える安達太良山が綺麗だと佐治からメールが来ました」
幹部との打合せが終わるのを待って柚原さんが広間に入ってきた。
「命を狙われているのに呑気な連中だ。すこしは危機感を持ったほうがいいのに。参ったな」
彼が苦笑いを浮かべた。
「同世代同士、話しが盛り上がっているのでしょう」
「やっぱり佐治はすげえな。さすがは弓削が見込んだだけはある」
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