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番外編 はなももの里

「あ、でもこのことはオヤジとカシラには内緒で。半殺しにされます」 「可愛い舎弟にそんなことしませんよ」 「そうですか?姐さんのことになると人格が変わるんですよ。マジで怖いですよ」 体が縮み上がるコウジさん。 「りょうお兄ちゃん、弓削さんに無事に会えたかな?」 「迎えに行くと話していましたもんね」 「心配しなくても大丈夫と遥琉さんには言われたんですけど、りょうお兄ちゃんを危ない目に遭わせてしまわないか、それが気がかりなんです」 「その台詞、オヤジに聞かせたかったです。泣いて喜びます」 そのあとすぐに着信音が鳴った。 「やっと電話が来たか」 電話を掛けてきたのは過足さんではなかった。 「何で俺の番号を知ってんだ。教えた覚えはないのに」 はぁ~~と深くため息をつきながら携帯を耳にあてるコウジさん。 「ねえさん、野暮用があるので湯野に行ってきます」 根岸さんが顔を出した。 「湯野?」 「飯坂温泉がある町のことです。温泉の他に果物王国福島にふさわしい桃やりんごの産地として有名なところです。惣一郎さんの幼馴染みが住んでいて、話したいことがあるそうなので行ってきます」 「雨が降っているので気を付けて下さい」 「ありがとうございます」 伊澤さんと仲良く連れ立って玄関へと向かった。

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