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番外編 はなももの里
彼の予想した通り病院では大変なことになっていた。
「病院の中でそんな物騒なモノを持ってうすらかすらするんじゃない。危ないじゃないか」
佐治さんが湯山さんが差し向けた刺客と対峙していた。しおさんと一緒にコンビニエンスストアにいた若い男だった。
「大人しくスカルとしおをこっちに渡せば病院に危害は加えない」
「危害は加えないってどの口が言ってんだか。安心しろ。どんだけ大金を積んでも青空はお前たちの好きになんかならないよ。それにしおもお前たちに渡すわけにはいかない」
「この雑魚が!」
忌々しいとばかりに舌打ちし、吐き捨てる全身黒ずくめの若い男。
「兄貴がいなければなにも出来ない癖に。口だけは一丁前だな」
捲し立てるように煽った。
男は知らなかった。渋川さんが佐治さんを守るために舎弟をひそかに病院に潜り込ませていたことに。
「なんでお前がここにいるんだよ」
佐治さんも寝耳に水で、かなり驚いていた。
「見て分からないか?検査入院だよ。カシラの性格はお前が一番知っているだろ?いいよなぁ、カシラに愛されて」
ニヤリと笑う男。
「頼むから誤解を招くような言い方をするな」
「誤解を招く言い方はしていない。そうだろ?佐治ちゃん」
「だから……」
何かを言いかけてはぁ~~とため息をつく佐治さん。二人は顔馴染みのようだった。
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