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番外編 ハナモモの里
「来る度に子どもたちに熱烈に歓迎してもらって。いやぁ~~本当に嬉しいです。たいくんもここちゃんも人見知りしないから可愛くて仕方がないです」
お茶を出しに広間に行くと子どもたちにいじくりこんにゃくにされる斉藤さんと吉村さんがいた。
「阿部さんのピンチヒッターです」
「急用が出来て来られなくなったので代わりに」
「そうだったんですね。待たせてすみません」
「子どもたちと遊んでいるとあっという間ですから気にしていません」
「斉藤の言う通りです」
子ども好きな二人。笑顔が溢れていた。
「阿部に忌憚のない意見を聞きたいと思ってな。それで呼んだんだ」
「そうだったんですか」
「斉藤、吉村遠慮はなしだ。二人の意見が聞きたい」
「そこまで卯月さんが言うなら……」
アイコンタクトをとる二人。ひとつ深呼吸してから、斉藤さんのほうから先に口を開いた。
「余計なお世話かも知れませんがたまには来る者を拒んでもいいと思いますよ。シェドや海堂が関わっているならなおのことです」
「卯月さんはどんな厄介事でも笑って受け入れる器の大きい人です。だからといって何でも受け入れるのはどうかと思います。逆恨みされて、未知さんとお子さんたちが危ない目に遇うかもしれません」z
吉村さんも自分の思いを正直に伝えた。
「そうだよな、四季のほうもまだ何も解決していないんだ。これ以上の厄介事を抱え込むのはリスクが大きすぎるもんな」
腕を胸の前で組んで小難しい顔を浮かべていた彼。何度も頷いていた。
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